さて、60年代のテーマは「宇宙」でしたね。一九六一年四月一二日、ソ連の宇宙飛行士ユリ・ガガーリンが乗った宇宙船「オストラント1号」が地球を周回したことで、人類の「宇宙時代」が始まりました。それを目撃したのが、モスクワ製の腕時計「ナビゲーター」でした。1965年、アレクセイ・レオーノフが初の宇宙遊泳を行い、彼が身につけていた腕時計「ストレラ」は、宇宙船から宇宙に出た最初の腕時計となりました。残念ながらスケールの変化とともに、これらのソ連製時計やブランドは、歴史の長い川の中に消えてしまいました。今日の「腕時計の年代記」は、宇宙時計の話です。
ユーリ・ガデイトジャストコピーガーリンと「ナビゲーター」の腕時計です
一九六一年五月五日、宇宙飛行士のアラン・シェパードが「フリーティー7号」で地球を周回し、アメリカ初、人類史上二人目の宇宙飛行士となりました。しかし、シェパードさんがフリーダム7号に乗っている間、腕時計をしていたという資料はありません。
NASA認定スーパーマスター(1965年)とムーンウオッチ1965(2025年)です
実はNASAが宇宙飛行士に腕時計を装備するのは「Project- Gemini」までで、オメガはNASAの評価を受けた最初の宇宙用腕時計です。これはスウォッチが最近発表した「MOONSWATCH 1965」の着想の元となったのです。
フレンドシップ7に乗っていたジョン・グレンは
1965年まで腕時計は標準装備ではありませんでしたが、宇宙飛行士が個人的な持ち物を少しずつ持ち歩くことは許されていました。ジョン・H・グレン二世(John H. Glenn, Jr.)は、宇宙飛行士として初めて時計を持って空を飛んだ人です。1962年2月20日に飛行したフレンドシップ7号によると、彼は2915Aのホイヤーの懐中時計を持ち、宇宙服の外側にゴム紐で固定して「腕時計」に改造していました。